40代を過ぎると、親の相続について考える機会が増えてくるのではないでしょうか。
親御さんとお金や資産の話をしないまま、病気になられたり亡くなられた場合のことを考えると不安になりますよね。
相続手続きは複雑で手間がかかるものですが、その中でも特に頭を悩ませるのが、故人の保有株式や生命保険の調査です。
今回は、これらの調査をスムーズに行うための2つの制度、「登録済加入者情報の開示請求制度」と「生命保険契約照会制度」について、行政書士の視点から解説します。
1. 登録済加入者情報の開示請求制度とは?
故人が株の取り引きをしていたはずだけど、どこの証券会社に口座があるのかがわからないといった場合、登録済加入者情報の開示請求をおこなう方法があります。
照会先は証券保管振替機構で、郵送でのみ受け付けています。
開示請求をするには必要な書類がありますが、手続きをする方によって異なりますので証券保管振替機構HPにてご確認ください。
口座のある証券会社の一覧が開示されますが、銘柄名や残高、取引履歴までは開示されません。
そのため、開示結果をもとに各々の証券会社に詳細を問い合わせる必要があります。
ただし、上場されている国内株式、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)、新株予約権、非上場株式の一部などで所定の要件を満たすものに限られている点に注意してください。
1件あたりの費用:被相続人の口座調査 6050円、本人の口座調査 4400円
2. 生命保険契約照会制度とは?
この制度は、故人が加入していた生命保険契約等の有無を、生命保険協会を通じて一括で照会できる制度です。
照会先は生命保険協会で、郵送またはインターネット(災害時は電話もOK)で受け付けています。
対象は、照会受付時に有効に継続しており、親が契約者や被保険者である生命保険契約に限られます。
どういった種類の保険があるかまでは開示されないので、照会結果をもとに各々の生保会社に保険契約内容などを問い合わせる必要があります。
照会を申請するには、本人確認書類や照会対象者の法定相続情報一覧図(法務局認証済み)が必要になります。
くわしくは生命保険協会HPでご確認ください。
1件あたりの費用:3000円
※災害死亡・行方不明による照会の場合は無料
3. 親の生前でも調査が可能?
要件を満たせば、これらの制度は親の生前でも利用できます。
株式などの開示請求は親本人はもちろん、親の成年後見人や親の委任を受けた子も請求することができます。
しかし、生命保険の照会は親の認知判断能力の低下した場合に限られます。
認知判断能力の低下については医師の診断が必要などの要件がありますので、親が元気なうちに利用できる制度ではないことにご注意ください。
4. 行政書士に依頼するメリット
これらの手続きは、相続人の方がご自分でされることが可能です。
しかし、手続きが複雑であったり、必要な書類が揃わなかったりする場合には、スムーズに進めることが難しいことがあります。
相続時の請求では、法定相続人であることを証明するために戸籍謄本一式の写しなどの書類が必要になります。
相続手続きは、法律に関する知識や経験が必要なため、専門家である行政書士に依頼することで、以下のメリットが期待できます。
• 手続きの代行: 煩雑な手続きを代行いたしますので、ご自身の時間的負担を軽減できます。
• 迅速な対応: 専門的な知識と経験を活かして、迅速かつ正確に手続きを進めることができます。
• 精神的な負担軽減: 大切な方を亡くされた悲しみの中での相続手続きは、精神的な負担が大きいものです。その負担を軽減することができます。
まとめ
口座や保険の調査は、相続手続きにおいて非常に重要かつ煩雑な作業です。
これらの制度を活用することで、スムーズに調査を進めることができますが、ご自分で手続きを行うには、時間や手間がかかるだけでなく、専門的な知識も必要となります。
相続手続きをスムーズに進めたいとお考えの方は、ぜひ行政書士にご相談ください。
行政書士には守秘義務がありますのでご安心ください。