終活をしてくれていた両親に感謝

私(川原江里)の経験談で恐縮ですが、まだ「終活」という言葉自体が無かった20年ほど前、父が69歳で亡くなりました。
風邪ひとつひかない至って健康な父でしたが突然、腹部の激痛に襲われて近所の医院へ行き、すぐに区内で一番大きな病院へ救急車で運ばれましたが、その病院では手に負えないということで、翌日にはさらに大きな病院へ転院し、4か月半で亡くなりました。

父の終活

病に倒れる5年ほど前、「お父さんに万が一のことがあったら、この先生のところにこの封筒を持って行けば何も心配はいらないから」と、母と私に不動産の権利書等が入ったA4サイズの封筒と司法書士の先生の名刺を父から渡されました。
そして、北海道ではあまり多くない宗派だから心配していたけど、菩提寺も見つけたとその〇〇宗△△派××寺という名前と住所が書かれたメモも一緒に渡されました。
〇〇宗であることは知っていましたが、△△派までは聞いたことがなかったので教えてもらって良かったことの1つです。
私はちょうど良いタイミングだと思い、保険証券なども一緒にまとめて鍵付きの家庭用のロッカーに保管しておきました。

まったく病気の気配すらない健康なうちに父は今で言う「終活」をして、いざとなった時に家族が困らないようにしておいてくれたのです。
今では葬儀屋さんが相続手続きの士業を紹介してくれますが、当時は誰に依頼するのかなど全くわからなかったので本当に助かりました。
突然の別れで母は体調を崩していたので、弟と2人で司法書士さんを訪ね手続きをお願いしました。

母の終活

そこから10年ほどして「終活」という言葉が出始めてきた頃、母も突然の病に倒れるのですが、不思議なことにその数週間前には母の若い頃の写真や洋服、着物など、私が処分するのはためらうと思われる物をすべて断捨離していました。
入院してからは、父から相続した不動産はいつでも私が処分できるようにと、名義変更の手続きをしたいと言ってくれて、父の時と同じ司法書士さんにお願いしました。

今のように「終活」や「エンディングノート」という言葉は浸透していない時代でしたが、遺された家族が煩わしい思いをしないよう、自分なりの方法で準備をしていてくれた両親の愛を感じました。

このような経験から、行政書士として「終活」に関するお手伝いができたら、悲しみの中で様々な手続きに煩わされるご遺族が少しでも楽になれるのではないかと思っています。

 
 

1.エンディングノートの重要性と役割

遺言書と違って、エンディングノートには法的効力はありません。
ですが、今までの人生を振り返りながら、自分の想いを書き記すことによって、今自分は何がしたいのか、何をするべきなのかをはっきりさせることができる非常に前向きな気持ちにしてくれるツールでもあると思います。

もちろん
・預貯金や保険、有価証券の情報
・SNSのID、パスワード
・連絡してほしい友人
・治療に関する要望
・葬儀に関する要望
などをご家族やパートナーに知ってもらうためにも有効なツールです。

エンディングノートは、1度書いたら終わりではなく、何度でも書き換えたり、追記したりして気持ちの変化があったら都度、変更して作り上げていくものです。
そして、作成したらそのことをご家族やパートナーなど身近な大切な人に伝えておくことも忘れずに。

2.身辺整理から始める終活の手順

断捨離のすすめ:不要な物の整理

私は「いつか着るかも」「いつか使うかも」というタイプなのですが、結婚してマンション暮らしになったら、収納スペースが限られていることもあり少しずつ不要な物の整理ができるようになってきました。

よく言われる「いつかは絶対にやってこない」「1年着なかった服は捨てる」という言葉を思い出しながら衣替えのタイミングで捨てるようにしています。

遺品整理を見据えた準備

やはり遺品には思い出がありますし、なかなか捨てられないものです。
それを見据えて、母が残さなくて良いと判断したものはすっきりと処分してくれていました。
最小限の遺品だけしかありませんが、思い出は記憶の中にあるので寂しさはありません。
自分が亡くなった後、遺された大切な人達を困らせたり煩わしい思いをさせたりしないように少しずつ整理していきたいものです。

3.相続に関する要望

法定通りの相続人以外に相続させたい人がいる場合や、相続させる財産を指定したいなどの希望がある場合には、やはりエンディングノートではなく、法的効力のある遺言書を作成しておく必要があります。

相続・遺言書についてはこちらをご覧ください。

 
エンディングノート作成の支援や終活セミナー開催のご依頼も承っております。