自筆証書遺言と公正証書遺言

自筆証書遺言は、最も手軽に作成できる遺言の方法ですが、そのメリットとデメリットをしっかりと理解しておくことが大切です。

自筆証書遺言のメリット

•特別な費用はかかりません。
•特殊な知識や手続きは必要なく、自分で作成できます。
•内容を他人に知られることなく、自分の意思で遺言を作成できます。

自筆証書遺言のデメリット

•全てを自筆で作成する必要があるなど(ただし、財産目録はパソコンでの作成が可能です)、形式的な要件が厳しく、少しのミスで無効になる可能性があります。
•原本が遺言者の手元に保管されるため、偽造や改ざんされるリスクがあります。
•相続人が遺言書の存在に気付かない可能性や紛失のリスクがあります。
•相続開始後、家庭裁判所での検認手続きが必要となる場合があります。
令和2年7.10から保管制度が始まり、法務局に預けることが可能になりました。
この場合は検認は不要ですが、本人確認のため法務局への出頭が必要です。(手数料1件につき3900円)
参照:法務局「自筆証書遺言書保管制度」
•公正証書遺言と比較して、証拠能力が低いとされる場合があります。

検認とは?

検認とは、遺言書の内容が遺言者の真意であることを確認するための手続きです。自筆証書遺言は、原則として検認が必要です。検認は、家庭裁判所へ申し立てて行います。

自筆証書遺言のひな形

自筆証書遺言には、決まったひな形はありません。ご自身の財産状況や相続人に合わせて自由に作成できます。ただし、全てを自筆で書き、日付と氏名を記載し、印鑑を押すことが必要です。

ひな形の一例(あくまで参考です)
•表題: 遺言
•日付: 2024年12月31日
•氏名: 札幌太郎
•内容:
      o私の預金口座(〇〇銀行、口座番号〇〇〇〇)は、妻の札幌花子に相続させる。
      o私の所有する不動産(住所〇〇)は、長男の札幌花太郎に相続させる。
      oこの遺言の執行者は、私の友人である北海次郎とする。
•署名: 札幌太郎(署名)、押印

公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、公証人という国家資格を持つ専門家と証人2名の立会いのもと、口述または書面で遺言の内容を述べ、公証人がそれを書面にまとめ、署名・押印したものです。その後、公証役場で厳重に保管されます。

公正証書遺言のメリット

•自筆で書けない方でも、口述で遺言内容を伝えることができます。
•公証人が作成するため、法律的な問題点を指摘してもらい、より確実な遺言を作成できます。
•原本は公証役場で厳重に保管されるため、偽造や改ざんのリスクが非常に低いです。
•自筆証書遺言を自宅等で保管している場合と異なり、検認手続きが不要なため、相続手続きをスムーズに進めることができます。
•法的な証拠能力が非常に高く、相続人からの異議申し立てなどを防ぐことができます。

公正証書遺言のデメリット

•公証人への手数料や証人への謝礼など、一定の費用がかかります。
•公証人との打ち合わせや、公証役場への手続きなど、時間がかかる場合があります。
•内容を変更する場合は、再度公証役場へ行くなど、手続きが煩雑になる場合があります。
•証人に遺言の内容が知られてしまいます。

自筆証書遺言との比較表

まとめ

自筆証書遺言は、費用がかからず手軽に作成できるというメリットがある一方で、形式的な要件が厳しく、偽造・改ざんのリスクが高いなどのデメリットもあります。

公正証書遺言は、費用や手続きの煩雑さといったデメリットはありますが、法的確実性や安全性が高い遺言方法です。特に、自筆が難しい方や相続で争いを避けたい方におすすめです。

行政書士は公正証書遺言の原案作成、公証役場での証人、遺言執行者になるなど様々なサポートをすることが可能です。
行政書士には守秘義務がありますので、安心してご相談ください。

 

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